朝日新聞が駅頭ポスターで「ジャーナリスト宣言。」を訴えている。不祥事の連続から脱すべく、その決意をアピールするキャンペーンのひとつだ。「9・11」事件で崩れ落ちるワールドセンタービルを背景にした写真にはこんなコピーが記されている。「言葉は/感情的で、/残酷で、/ときに無力だ。/それでも/私たちは信じている、/言葉のチカラを。」これに対して毎日新聞の牧太郎・専門編集委員がネット日記で「朝日新聞の欺瞞」だと批判した(2月1日)。
生き物としての言葉を「感情的で、残酷」などと勝手に言ってもらいたくないという。もし使うのなら、それは朝日新聞の言葉のことではないのかと厳しい。この指摘があった日の「政治・総合」面に人事(1日付)が掲載された。3人の「編集局長補佐」が発表されたのである。その筆頭に外岡秀俊・前ヨーロッパ総局長の名前がある。天声人語を批判した日垣隆氏の著書『エースを出せ!』(文春文庫)にならえば、ようやくエース登場だ。
外岡氏は学生時代に書いた『北来行』が文藝賞を受賞、卒業とともに朝日新聞社に入社。「いずれ天声人語を書くことになる人材」とささやかれ、やがて阪神淡路大震災を歴史的位置づけのなかで活写した『地震と社会』(みすず書房)が高い評価を得る。最新作『傍観者からの手紙』(同前)も、国際政治を文藝作品を読み解くなかで分析した傑作だ。
「朝日」は1日から4日まで1面トップで防衛施設庁の談合問題でスクープを連発、5日からは「中流層崩壊」の大型ルポ「分裂にっぽん」がはじまった。信頼回復がなるかどうかは紙面の質にかかっている。すぐれた記者が編集指導者として能力を発揮できるか。注目したい。